奈良県聴覚障害者協会の紹介
「奈良県に住むひとりぼっちの聴覚障害者をなくすために、みんなと協力しあって、いろいろな要求を実現させて、聴覚障害者の生活が豊かになれるようにしよう」と、1948年3月12日に奈良県ろうあ者福祉協会(一般社団法人奈良県聴覚障害者協会の前身)を設立しました。
以来、今日まで『一般社団法人奈良県聴覚障害者協会』は聴覚障害者の自主的な団体として、聴覚障害者の社会的地位の向上や福祉の増進に努めてきました。現在では、当協会傘下4ブロック・16地域協会があり、会員約300名を擁しています。
奈良県聴覚障害者協会は、奈良県に住む聴覚障害者のための唯一の法人団体で、奈良県に在住する聴覚障害者の人権を尊重し、聴覚障害者に対する社会一般の認識を高め、その社会参加を促進するため、聴覚障害者の福祉の増進に関する事業を行い、もって社会福祉の発展に寄与することを目的として次の事業を行っています。
協会は、上部組織として『一般財団法人全日本ろうあ連盟』(会員数=2万人)に加盟しています。全日本ろうあ連盟は、全国の仲間とともに、いろいろな運動をすすめています。
1948年3月に奈良県ろうあ者福祉協会(一般社団法人奈良県聴覚障害者協会の前身)を設立し、事務所は奈良県立ろう学校内クラブハウスに置き、活動を始めました。同年の4月には近畿聾唖連盟が大阪で結成され、同時に加盟しました。
そして、1959年9月に婦人部(現・女性部)を結成。続いて、1963年4月に青年部を結成し、活発な活動を行いました。
当協会創立後に機関紙の発行が中断していましたが、1983年7月、機関紙を再刊。機関紙の名称を『ろうあ大和』と命名し、新たに出発しました。
県下の地域協会と当協会との連携を図るべく、1985年4月に「奈良県聴力障害者協会」と名称を改め、ブロック制の体制をもって組織統一のスタートを切り、会員の増加をはかりました。
1987年4月に老人部(現・高齢部)を結成。同年の当協会定期総会が40回目を迎えるにあたり、式典やアトラクションなどを盛り込んだ「第1回奈良県ろうあ者大会」を開催。以来、毎年ブロック持ち回りで開催しています。
1988年10月、これまでの当協会事務所を初めて公共機関の奈良県心身障害者福祉センター内に設置。1994年に新築の奈良県社会福祉総合センター内に移り、職員2人体制で現在に至っています。
奈良県知事より法人設立の許可を受け、「社団法人奈良県聴覚障害者協会」として1997年4月よりスタートを切りました。
1998年10月からスタートした聴覚障害者に対する差別法令の改正を求める全国100万人署名運動で、奈良は6ヶ月間で目標2倍の23000人の署名を集めました。また、自治体議会請願行動の結果、県議会と37自治体議会が採択されました。
折しも、検察審査員候補予定者に選ばれた奈良市在住の聴覚障害者に対して、耳が聞こえないことを理由に候補者から除外される問題が発生しました。当協会は「不当差別だ」と、奈良検察審査会と奈良市選挙管理委員会に抗議行動をしました。翌年の2月に法務大臣が「聴覚障害者も参加できるよう法改正する」との方針を発表する成果を勝ち取りました。
2005年5月に「障害者自立支援法案」をめぐる聴覚障害者自立支援法案対策奈良県本部を設立し、運動を開始。決起集会や緊急集会の開催、国会議員と政党事務所に要請活動、県・市町村議会への「意見書」採択のための要請活動などの活動を展開しました。同年の10月、国会で「障害者自立支援法」が採択され、聴覚障害者自立支援法対策奈良県本部と各地域協会は、2006年10月からの地域生活支援事業実施に向けて、自治体に対し要望行動や交渉を行い、コミュニケーション保障にかかる事業は無料の堅持を、という運動を展開しました。
奈良県で聴覚障害者情報提供施設の要望運動を始めたのは1986年で、10年間は進展なしでした。1997年に当協会法人化を契機に、情報提供施設の建設を最重要課題として聴覚障害者関係団体の皆さまと力を合わせて運動を進めてきました。定期的な県との話し合い、県障害福祉課主催による検討会での話し合いを重ねてきました。県知事との面談もしました。そして、ついに奈良県議会の2011年9月定例会で、情報提供施設設置のための条例案と工事費などの補正予算案が原案どおり可決され、長い要望運動が実を結びました。
当協会の事務所がある奈良県社会福祉総合センターの4階の一部分を改修して、2012年9月1日「奈良県聴覚障害者支援センター」が開所し、県内の聴覚障害者活動の新たな拠点がスタートを切りました。設置主体は奈良県で、運営主体は指定管理者制度の導入により、当協会が管理運営を行っています。
手話言語法の制定を求める意見書採択運動で、2013年11月に取り組みの説明会を開催して運動を開始。
最初に2014年3月定例議会で採択された河合町議会を皮切りに、3月・6月・9月の定例議会で意見書採択が続き、最後の下北山村議会が9月22日に採択。ついに奈良県内40自治体の議会すべてでの採択を成し遂げました。これは70年にわたる奈良ろうあ運動の歴史上での快挙です。
手話言語条例の動きでは、2015年3月16日、県内で初めて大和郡山市に「大和郡山市手話に関する基本条例」が制定され4月1日からの施行。
奈良県におきましては2017年3月24日、奈良県議会において「奈良県手話言語条例」が全会一致で可決され、制定されました。同年3月16日、「天理市みんなの手話言語条例」が制定され、いずれも4月1日からの施行。
続いて、2018年3月14日に「桜井市こころつながる手話言語条例」、同年3月28日に「橿原市手話言語条例」が制定され、いずれも4月1日からの施行。
そして2019年3月13日に「大和高田市手話言語条例」、同年3月20日に「広陵町ともにはぐくむ手話言語条例」と「奈良市手話言語条例」制定され、いずれも4月1日からの施行。
これにより、手話言語条例は県内で奈良県をはじめ7市1町となりました。本年に入っていくつかの手話言語条例制定・施行の予定があり、その輪はさらに広がっています。
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